恋する少女

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「あっ、いたいた」 つい調子が上がってしまう声を潜め、 公衆トイレの陰に身を隠す 私が視線を向けている公園のベンチで一人、少年が本を読んでいた 丁度よいぐらいに寝癖のある、艶やかな黒髪 つり目の整った顔立ち 清楚な白い制服のシャツが、彼の良さを引き出している 例の学校に来ない男子生徒 彼の名はーー水浦葉月 彼は学校が終わる時間帯に毎日のように公園にいる 葉月君の周りには、いつも凛とした空気が漂っていて一際目をひく まるでーー輝く艶かしい蓮華の花が泥をものともせず、毅然として咲くように
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