0:序章

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物心ついた時から私には視えていた。 刻華の地に古より住むと云われてきた妖-アヤカシ-たちが。 それは私にとって当たり前の事だったから、特に気にしたことはない。 ただ両親は快く思わず、他人に口外することはいけないと云われた。 今思えばそれは私のためとかではなく自分達のため。 鴇風家は古くから刻華町に住んでいる。 私、鴇風美桜(ときかぜみお)は幼い頃からやや大人びていた。 それはたぶん…私に"鴇姫"の血が流れていたから 刻華の地を祈りで護り抜く使命を持つ姫の血を そしてそんな歳に合わず大人びていた私は友達がいなかった。 けれどちっとも寂しくない 心に親友がいたのだから。 刻華に伝わる創始伝説、イザナミとイザナギが一の神児、天照ノ尊の魂を持つ神獸、"天照" 彼女がいるなら友達なんて要らない。 そう、思っていた。 あの日の夕暮れ、あの人達と出逢うまでは…
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