0:序章

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「…ずっと我慢してたのに…とうとうやってしまった…ババ様に説教喰らっちゃう…」 刻華町立図書館 私はそこで司書として働いている。 利用者の半分は子供とお年寄り。刻華町自体高齢化になりつつあるから仕方ないことかもだけど。 後は学生にサラリーマン、一般の人はあまり来ない。 専門書や図鑑、古文書や郷土資料、絵本なんかは充実してるんだけど雑誌やら小説がほとんどない。 おそらく、利用者が限定されているのが一番の原因だろうが。 町長やっているのが確か浮雲晁馨(うきぐもちょうけい)っていう厳格で頑固そうな人。 …原因な気がする。 町民の意見、もっと聞こうよ…。 とまあそれは図書館の今後の課題なんだけど私の台詞に因果関係はない。 …。 刻華町には昔からの言い伝えで"夕暮刻までに家に帰るべし"とかゆう子供のお約束みたいなものがある。 ただ、実際にそれはかなり不可能に近い。飲み会とか懇親会とかどうするんだ、残業は?とかって思う人はいるだろう。 大丈夫、私もそう思う。 だから大抵の人は信じていないし気にかけない。しかし、しかしだ。
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