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「それでこんなに眼が腫れてんのかよ」
「……うるさい」
ざわつく教室の中で、目の前にいる男に冷えた缶ジュースを貰い、腫れた瞼にのせた。
「恵一(ケイイチ)は意地張りすぎなんだよ。本当は独りなの嫌いなくせに」
そんなこと、言われなくたってわかってるよ。
「順平(ジュンペイ)に言われても嬉しくない。俊哉(トシヤ)にわかって貰わなきゃ、意味ないのに」
そうゆう風に見せることのなかった僕が悪いんだろうけどさ。
「ったく、可愛くねぇな」
順平はそう言いながら、僕の頭を拳でぐりぐりしてきた。
「ちょっ、やめろよっ」
「ばーか、そんな落ち込んだとこ俊哉に見られていいのかよ」
……駄目だ。
僕は、強く見せなくちゃ。
「うん、ありがとう」
何気ない順平の優しさが、嬉しかったのと同時に、弱った僕の心に痛みが走った。
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