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 既に立ち上がる狐様は、ふわっと長い黄金色の髪を揺らし。 「うむ。儂はまだこの世に現れて交わっておらん。どういう訳か身体があるのじゃから、別によかろう。汝に迷惑はかけない」  やんわりとしながら色艶が妖しい口調。みるみる危機感を宿す雲母もまた、パニックへ。  なんで、そんな発想になっちゃったのですかと、拳をわなわなさせて―― 「だ、だ、駄目なんです!!」  弱々しくも立ち上がり抵抗を魅せるのだ。これはこのままでは、やばいと感じるのは無論、作者である。  雲母の気持ちを解るだけに、誠吾がクオに襲われたら……誠吾幸せか? なんてちょっぴり考えるが、やっぱり、純粋な雲母の気持ちを守るべきかと立ち上がる。 「く、クオ。誠吾は駄目だよ」 「? 何故じゃ? 別に小娘が好きであろうが、儂と一夜過ごし、何かあれば儂が妊娠するだけじゃろうに。迷惑はかけないわい」  なんて矛盾を言うのか。さすがに作者も口を開けて驚きのまま。  雲母は目を丸くさせて、頭に描く……そのシーンに……ぶんぶん、首を横に振れば黒い癖毛も揺れていた。 「――だ、駄目なんです! く、クオさんは鳥羽上皇さん一筋じゃなかったのですか?!」 「うむ。あの方が一番。しかし、あの方はおらぬ。それに誠吾は何と無く似ておる」  そう言われて、雲母は確かにと内心思うが、だからと言って認められない。  クオは妖艶な瞳で雲母を見れば、引き下がらずに雲母は睨み返す。  このどうにもならない状況に、二人が喧嘩するのは秒読みで、あせあせする作者。いや、喧嘩しても雲母に万の一つも勝目などある訳もなく。  ならばこの隙に何か一手を打つしかないと、必死に頭の中を回せば…… 「解ったクオ! 誠吾は駄目だよ! どうだい? そ、その~何か違う望みを今度叶えると言う約束で、手を引かないか?」
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