25人が本棚に入れています
本棚に追加
♪
風がふわっと吹き抜ける青空の下。箒をまさに今片付けた、黒いワンピース魔女装束の彼女は、山々の木々を軽く見渡し、そのボロい祠の前まで来れば……
「イッチーさん~!」
桜花の愛らしい高い声が木霊し拡散。数秒の変化無い時間があるが、黙って待っていれば、風の流れが変わる。
――ビュン。強い風がピンクの髪と黒いマントを靡かせ、上空から一目連が目の前に着地を。
「ん? どうした桜花?」
思わぬ来客者に、藍色の片目を細めれるが、エヘヘッと笑みで返された。
「こないだのakusarさんに何を渡したのですか??」
単純に気になった。こないだあの封筒の中身が知りたくて、こっそり一目連の元へ来たのだ。
「ああ、温泉のチケットだ。普段の疲れを癒すには湯が一番だ」
「おお~温泉♪ イッチーさん優しいんですね☆」
「や、優しいだと?! ば、馬鹿言うな。あれはただの礼だ」
なんて言いつつ、もの凄く拘った。温質、料理等を徹底的に調べた一目連自慢のお店。
「ふ~ん☆ イッチーさん?」
「なんだ?」
「akusarさんお好きですか??」
「唐突になんだ?」
「嫌いですか~?」
その桜花の表情にこの娘は一体何がしたいのか疑問だったが「そんな訳あるか」と答えれば、桜花はにっこり。
「良かった♪ イッチーさん、中々、瞳で上手く物語ってくれないんで心配しました」
桜花は何気に瞳をで相手の感情を読み取るチカラを持っていたが、一目連の片目からは上手く読めないでいた。なので直接確認しに来たのもあるのだ。
「ふん。お前はそれだけで私の元へ? 随分変わった奴だな」
「はい♪ また今度~皆でイベントしますから来てくれますね?」
「……ま、まぁ呼ばれればな」
嫌がる素振りは、決して本気ではなく裏返し。彼女もまたリーナに似てるんだな~なんて感じる桜花だが、既に一目連はお気に入り。
今度は何をしようかと楽しみに心を踊らせれば、さらに一目連と仲良くしようと、お土産の団子を広げ、青空の下で魔女と妖怪はガールズトークに華を咲かせるのであった。
おしまい
最初のコメントを投稿しよう!