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とある自宅の一室。綺麗に片付けられた部屋の所々にぬいぐるみ置かれ、明るい色合の机を前に黒い癖毛がチャームポイントの少女は、机を前に何やら書き物を熱心にしている。
シャーペンで白い紙を滑らせ、文章へと作り上げる最中……
机に置いてある携帯電話が鳴る。
「……? 誰かな?」
少女は手を休め、携帯電話を手に取れば、小さく口にする。
「桜花ちゃんから……え?」
受信したメールを開き、内容を読んで小さく驚く。何せその内容が内容だった。
『今から行くよ♪』
短い内容に思わず周りを見渡す。大体このメールが来れば……
矢先にヴィィィンと聞こえる転移魔法発動音。雲母の部屋の床に突如、六芒星魔法陣が展開され……
――光が弾ける!
閃光は瞬き一つ。秒針一つの時間で、そこに現れたのは、淡いピンクの髪に澄んだ青い瞳をぱっちりさせた魔女。
黒い大きな帽子に黒いワンピースの魔女装束、マントまでも黒いのだが、これを見事に愛らしく着こなし、淡いピンクの髪を持つ彼女、真奈道桜花。年齢は十七歳で元気いっぱいが彼女のトレードマーク。
「えへへ♪ 来たよ~♪♪ 雲母ちゃん」
何よりも笑みを浮かべ。その姿にいつも突然来る桜花に、もう~と思いつつも、別に怒る気はさらさらない彼女の名前は咲阿雲母。桜花とは同い歳で仲が良い。
「こんにちは桜花ちゃん。今日はどうしたんですか??」
雲母は椅子をくるりと後ろに向ければ、鮮やかなブルーのワンピースがふわっと揺れる。桜花はいつも通りに勝手に雲母のベッドに腰を掛けた。
「うん。ほら~こないだ~クリスマスにakusarさん招いたよね??」
「はい。私のお母さん……それがどうしたんですか?」
「ほら~、私すっかり忘れてて、ちゃんとプレゼント渡せなくて、ああ~って思ってたんだよ」
そういいつつ、少し表情を曇らせる。実は、今更ながらに桜花はちょっと気にしていた。
「えっ? ケーキあげたじゃないですか??」
「違うよ! 本命が渡せなかったんだよ」
うるうるさせる表情の魔女に、ちょっと待ってと考える雲母は思い出す。
『クオの狐火ファイヤーの刑』なるナッシングなプレゼントを。
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