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身体が動くのならここにいる必要はない。
自分を探しに行こう!
でも、どこから?
──月の光が差し込む窓。
その窓に近付く。窓ははめ込み式で開けることが出来ない。
部屋を見渡しても何も無く自分が寝ていたベットがあるだけだ。さすがにコレを持ち上げることは出来ない。
出口を探しても扉らしきものは見つからない。
──冷たいグレーの壁。
それが俺を取り囲んでいる。
どこから出入りしてるんだ?
これじゃ逃げられない。
いや、窓を割って外に出よう。ゆっくりと窓に近付く。
窓はそれ程堅そうではない。
深く息を吸う。右手の拳に力をこめる。そして思いっきりガラスに殴りかかる。
「ヤメテ!!!」
刺さるような声が心に響いた。
───遅かった
声が聞こえた時には拳は窓ガラスを貫いていた。
紅の鮮血が拳をつたい床に滴る。
「キャアーー…………」
断末魔が心の中で木霊する。
「誰か居るのか!?」
周りを見渡すが声は冷たい壁に吸い込まれてしまった。
誰も……いない?
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