序章 散りゆくものたち

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「何をしている。生け捕りにしなくては研究材料として成り立たないだろ。何故、貴様は実弾が入っている?」  ベレー帽が男に重くゆっくりと問い掛けた。  男は蛇に睨まれた蛙のごとく身を固めた。 「申し訳ありません。総長」  こちらまで、その威圧感が伝わってくる。    早くこの場から逃げたい! そう思いもう一度窓の外を見る。  やっぱり高い。 「麻酔弾用意……」  銃口が一斉にこちらを向く。  もう考えてる隙はない! 意を決して窓から身を乗り出す。 「撃て!!」  今度は完璧に遅れた。背中から身体の自由が奪われる  反動で窓の外に放り出される。 「おい、捕獲してこい。」    ベレー帽は部下に命じ、窓に近づき空を見上げた。 「いい月だ」
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