第1章 緋色の知らせ

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1  雲一つない晴天の空。    一匹の蝶が公園を舞っている。  空を意味するセルリアンブルーの生きた宝石。  その蝶を6,7歳ぐらいの子どもが追いかけて遊んでいる。  蝶は公園から住宅街に出て行く。  そのあとを子どもはついて行く。  蝶が進む先に段差がある。  子どもはそれに気がつかない。  子どもと段差の差が縮まっていく。  5m 4m 3 2 1  案の定子どもは段差につまづき転んでしまった。 「おじょうちゃん、気をつけないと駄目よ」  近くを歩いていたおばあちゃんが手を差し出す。 「ボク、女の子じゃないもん!」  そう言って男の子? は蝶をまた追いかけ出した。  なんで、みんなボクのことを女の子とまちがえるんだろう?  そう女の子は思った。  少し赤みがかった髪は長く、後ろで束ねポニーテールにしている。  一見しただけでは女の子に間違えられてしまうのも無理はない。
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