序章 散りゆくものたち

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 雲一つない空  三日月の光が さっきまで自分がいた場所を照らし出した。  廃墟となったビルの間、ゴミでうめつくされた 。  その場所に。  反対側には、眠ることを知らない街が活気に満ちている。  これが廃墟になったビルの屋上にいる俺が見た光景だ。  繁華街を歩く人達がアリのよう見える。  欲というエサに群がるアリのように。  その光景が近くに見えてくる、アリのようだった人達が元の大きさに戻っていく。  地面がものすごい速さで近づいてくる。    夜風で桜の花びらが妖しく舞う。  その中に、紅に染まった葉が一枚紛れていた。 「紅葉?」  次の瞬間、目の前が闇に閉ざされた……
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