序章 散りゆくものたち

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 目を開いているはずなのに何も見えない。目の前には、ただただ真っ暗な闇が続く。  ここはどこだ? 俺は死ねたのか?  不安が頭をよぎったとき微かに声が聞こえた。 「どうせ、すぐに身内が見つかる。だから、ほっとけばいいんだよ。」  なんだ、まだ生きてるのか。安心感がこみ上げてきた。    それと同時にとてつもない恐怖も襲ってきた。  俺、なんで死んでないんだよあんな、何があったんだ?  何も思い出せない。思い出すことが出来ない。    その恐怖が俺を蝕む。  頭の中で記憶が崩れていく、自分は何なのか?  何をしていたのか? 自分が誰なのか? なんで、怪我をしているのか?  大事な記憶と共に意識もまた闇に沈んでいった。
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