序章 散りゆくものたち

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 もう何回現実と闇を行き来しただろう?    あれ以来声は聞こえなくなってしまった。  ただ、一度だけガチャガチャとベットを運ぶ音が聞こえた。  その間、体中に激痛がはしった。    大きな岩を身体中に落とされた様な痛み。  多分、部屋を移動させられたのだろう。ただ、それだけでは激痛など走るとは考えられない。  と、すると考えられるのは"雑"に運ばれたということ。  未だにに何も思い出せないが、今回の件で判った事がある。  ここは病院だが、俺を助けようとしていない。  むしろ殺そうとしている──  俺にとってはその方がありがたいのかもしれない。  恐怖に怯え、なにもできないでいるよりよっぽどいい気がする。  だが、それも叶わない病院の奴らは俺に直接手を下さず放置して勝手にくたばるのを待っているらしい。    悲観的な事を考えると、直ぐに闇が心を支配してしまう。  今回も、だ。
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