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その夜、今までで一番多くの声が聞こえた。
──若い女の声
「院長、クビなんだって?」
「本当? なんで?」
「実はね、廃病患者が出たんだって!」
──しわがれた声
「ここで手術を失敗した患者がいるんだとよ」
──恐怖に怯える声
「失敗してたらどうしょう……」
──それをなだめる声
「大丈夫ですよ。今回は元々重傷な患者だったから」
──苦しそうな声
「やっと居なくなるのか、重くて大変だったぜ」
──甲高いあの声
「これでここも」
──悲しそうな声
「あの子と一緒、可哀想に」
──幼い声
「私、捨てられちゃうのかな?」
──そして、院長の声
「よりによって、これからいうときに、どこでミスを犯したんだ? それとも、元々廃病だったのか?」
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