序章 散りゆくものたち

9/13
前へ
/100ページ
次へ
 何が何だが全く分からない。  ──廃病?  それが俺が死ぬ理由なのか?  もし、そうだとしても何で院長がクビになるかわからない。  まあ、関係ない。これから、死ぬんだから。  けれども、せめて自分が誰なのかしりたかった。    死を目前にして心残りがあることに気付いた。  身体さえ動いてくれたら。そんな欲まで出てきた。  虚しくなってくきてしまう。  ふと窓を見ると外に三日月が見えてきた。  これがこの世の見納めか。まあ、悪くはない。  月の光?  見える……  見える!!    今まで開かなかった目が完全に開いた。気付いたら身体を動かせられるようになっていた。  いつの間にか、  ──闇が消えていた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加