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ベッドの上で笑う美零は、あまりにいつも通りだった。
無邪気に俺を『レンレン』と呼んで。
でも。
ある日、鳴海が言った。
「美零ちゃん、痩せた?」
それは俺の携帯で撮った美零の写真。
毎日見ていたから気付かなかったけど
確かに美零は軽くなっていた。
例えば、庭に遊びに行きたいと言われて、美零を車椅子に乗せて連れていったとき。
例えば、イタズラの仕返しとして、美零を高く持ち上げたとき。
アイツは驚くほど軽くなっていなかったか……?
それをわかっていながら、俺は知らないふりをし続けていた……っ
「…嘘……だろ……?」
あんなに傍に居たのに。
あんなに美零は笑って居たのに。
それが、美零の嘘であることに今更気付く。
入院して、体が軽くなって……
そんなの。
よくマンガであるバットエンドじゃないか。
「…あ…おい…せんせ…っ」
無意識に口に出した名前。
俺と美零を繋ぎ直してくれた人。
赤い糸とか信じちゃってる、優しい人。
「柳瀬さんさぁ、もうすぐ死ぬってマジかなぁ?」
「え?アイツまだ死んでなかったんだー」
やめろ
「もう死んでるようなもんだろ」
やめろ
「確かにー」
やめろ
「じゃあさ、この机要らないよねぇ」
「ちょっと…」
「やめろって言ってんだろっ!!!!!!!!」
鳴海と羽矢の制止も振り切って、美零のまだ真新しい机を取り囲んでいる奴らに殴りかかる。
男も女も気にせずに。
気付いたら、見覚えのない先生と羽矢に取り押さえられていた。
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