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両手で顔を覆っていると、洋服を持った栄治が部屋へ戻ってきた。
「どうしたの?」
「な、何でもない!」
さっきまでの事を振り返っていたんて、恥ずかしくて到底言えない。
「洋服乾いたよ。しかし…明日香って大胆だな。
まだ、俺を誘ってんの?」
指を差された位置を目で辿ると…!!!
洋服を着ていない事を思い出した。
咄嗟に掛け布団で胸元を隠した。
「誘ってない。」
「なんだ、残念。」
私は洋服を受け取ると素早く着替えた。
あっ…。
栄治の香りがする。
柔軟剤の香りがふんわりと漂っていた。
何だか栄治と同じ香りをまとう事で、特別な感じがして嬉しかった。
「今度は何にやけてるんだよ…。」
「内緒。」
「あっそ。」
あっ、ちょっと機嫌損ねちゃったかな?
帰ろうとしたら、
「送ってくよ。」
「ありがとう。」
外へ出ると、夕陽が沈み始めていた。
こんな幸せな日々がずっと続くといいな。
栄治に向かって微笑んだ。
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