1-1.親友の心

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  僕だって自分の大切なモノがなくなる苦しみは分かっているつもりだ。 友達と思っていた人が消えていくのは、本当に辛かった。 その何倍も、棗は辛い思いをしていたのだろう。 だから今もきっと不安を堪えながら、僕の返答を待っているはず。 なら今僕が取るべき行動は、彼女を安心させるためにも、いち早く返事をすること。 しかしながら、偽りの言葉を言い彼女の不安を解消したとしても、そんなものは、ただのその場凌ぎだ。 何の意味も、持ちやしない。 「僕は・・・」 だから偽物なんかじゃない、本物の言葉を、気持ちを、僕は彼女に言った。 「僕はお前の事を、友達とは思っていない」 「・・・・え?」
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