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雲一つ無い夜空。
煌々と輝く幾百もの星と満月が、薄暗い大地を照らす。
其処に見えるのは二つの人影。
一つは獣の耳と尻尾を持つ異形の少女。
一つは和服を着た小柄な少女。
獣の少女が走り、着物の少女がそれから逃げる。
着物の方は息が上がっている。かなり疲弊している様子だ。
遂には、よろけて膝をついてしまった。
「あまり手間かかせないで下さいよ。こっちだって暇じゃねえんです、疲れますし」
獣の少女が言う。
だがそれ程疲れている風には到底見えない。
「・・・・・・・」
着物の少女は何も言わなかった。
座り込んだまま、ただじっと眼前のモノを見据えるだけ。
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