0.闇夜の森で

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  雲一つ無い夜空。 煌々と輝く幾百もの星と満月が、薄暗い大地を照らす。 其処に見えるのは二つの人影。 一つは獣の耳と尻尾を持つ異形の少女。 一つは和服を着た小柄な少女。 獣の少女が走り、着物の少女がそれから逃げる。 着物の方は息が上がっている。かなり疲弊している様子だ。 遂には、よろけて膝をついてしまった。 「あまり手間かかせないで下さいよ。こっちだって暇じゃねえんです、疲れますし」 獣の少女が言う。 だがそれ程疲れている風には到底見えない。 「・・・・・・・」 着物の少女は何も言わなかった。 座り込んだまま、ただじっと眼前のモノを見据えるだけ。
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