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今 僕は変な状況下におかれている。
物凄く濃い霧が発生している林の中で、泥の地面に背中を着け、挙げ句コスプレ少女にマウントポジションを取られている。
・・・自分自身よく分からない。つーか分かりたくない。
「・・・すみません、人違いだったみたいです。どうやって入ったかは知りませんが、早く帰った方が身のためですよ」
そう言って僕の上から退くコスプレ少女。
歳は僕と大して変わらない様で、煌びやかな金髪とルビーを思わせる紅い眼が印象的だった。
髪と全く同じ色の狐耳と黒い二股の猫尻尾という、異色の組み合わせをつけている。
僕も彼女の言うとおり、このまま真っすぐ家に帰れば良かったのに、見過ごす事が出来なかった。
彼女の右腕から流れる、赤い水を見てしまったから。
「お、お前 怪我してるじゃんか!!」
「え?うわわ、いつの間に」
肘から先が赤く染まるくらい流れ出ていた。
それでも彼女は冷静に、まるで今 初めて気付いた様に言った。
「とりあえず応急処置するから家に来い!」
「はい!?こんなの唾をつければ」
「治るわけ無いだろ!?いいから早く来い!」
怪我をしていない彼女の左手を掴んで、半ば無理矢理 僕の家へと連れ込んだ。
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