1-2.猫と狐と鎌鼬

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  信じてもらえないと分かっていながら、僕は自分の身に起こった事を、包み隠さず話した。 彼女は真剣な顔つきで、馬鹿にする事もせず、時折頷きながら僕の話を聞いてくれた。 「―― 事の顛末はそんな感じだ」 話を終えると彼女は、やっぱり、と小さく呟いた。 そして今度は僕の目を見て、はっきりと一言だけ、こう言った。 「鎌鼬」 「カマイタチ・・・っていうとあれか?いきなり刃物で切られた様な傷ができるっていう」 今思えば彼女の腕もそんな傷だった。 鎌鼬には二つの意味がある。 一つは今の様な自然現象としての意味。 「違います」 二つ目は。 「妖怪ですよ」 そう、妖怪の鎌鼬という意味。
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