1-2.猫と狐と鎌鼬

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  駄弁っていたのに気付かなかった。 まだお互いの名前を聞いていない。 さっきまではお前とかで話していたからな。 「僕は勾月無人だ。」 先に名乗っておくのが礼儀かなと思い、一応名前を言ったが、それを聞いた彼女の表情が一変した。 「・・・あ、あの、もう一度お願いします。苗字だけ」 「マガツキ、だけど?」 「そ、そうですか。すみません、知り合いに似た名前の奴がいまして」 あはは、と申し訳なさそうに苦笑する。 だが僕には、そうは思えない。 なんというか、親の仇にでも会った様な、そんな目をしていた・・・気がした。 「あ、私も名乗らなきゃですよね」 無理に作った笑顔で、彼女は言う。 バレバレだ。 「私は玖妖 漆花(クヨウ シチカ)です」
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