1-2.猫と狐と鎌鼬

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  どこをどう考えても、思春期と中二病 真っ盛りな少女の妄言にしか聞こえない。 見た目からして完全に化け物なヤツでも連れてくれば、嫌でも信じるけれど。 「・・・ここまで強情な人は初めてですよ。仕方ないです、無人さん」 立ち上がり、漆花は僕の方に歩いて来た。 「私の目、見ていて下さい」 「目?」 気の強そうな釣り目、その中には綺麗な赤の瞳。 先程まで丸かった瞳孔は、今は針みたいに細長い。 まるで、猫の目の様な ―― 「・・・・・っ!!」 言葉を失った。 目の前の光景に絶句した。 漆花の身体の周りに青白い炎がゆらゆらと漂っている。 鬼火、もしくは狐火というやつなのだろうか。 「これで、信じてもらえましたか?」 僕は黙って頷いた。
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