1-2.猫と狐と鎌鼬

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  「その時に人払い用の術をやってもらったんですけど、何で貴方は這入って来れたんでしょうね?」 あの濃霧の正体も妖怪の術らしい。 何で這入って来れたかについては全く分からない。 「ま、私が言えるのはここぐらいまでです。じゃあそろそろ行きますので。治療、ありがとうございました」 ペコリと礼儀正しく一礼し、玄関の方へ歩いて行った。 裏切り者の粛清、とか言っていたな。 つまりはあの男、鎌鼬と戦うのだろうか。 仮にどちらも妖怪だとしても、漆花は女の子だ。腕力等の差は否めない。 「漆花!」 気が付けば呼び止めていた。 振り向いた時に金色の髪が靡く。 何でだろう、危ないからか? 多分そうなんだろうけど、言ったってきかないんだろうな、きっと。 「あまり、無理するなよ」 だから、軽い激励の言葉を送った。 「・・・こういう場面って、頑張れよ、とかじゃないですか?普通」 彼女は苦笑いしながら言った。
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