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閑静な住宅街の道路に突き刺さる、二枚の厚い鉄板。
もともと一枚だったそれを、まるで豆腐を切るかの如く奴が袈裟懸けに切り伏せたのを、僕は漆花の後ろから見ていた。
煙霞(えんか)の混ざったその場所から突如つむじ風が吹き、煙が四散して姿が顕わになった。
黒いスーツを着た猫背で痩身の男が、街灯の下でこちらを見ながら立っている。
「鎌鼬・・・・・っ!」
歯を軋ませ漆花は言う。
彼女と初めて会う前に遭遇した奴だった。
「ん?カマイタチ?ああ、そっか。今はその名前だったか、俺」
鎌鼬は今 思い出したかのように、ぶつぶつと喋った。
今回は自分の意識がちゃんとあるらしい。
だがその状態で前回の様な攻撃を仕掛ける事も出来るとなると、かなり厄介だ。
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