27人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◆◆
翌朝、学校へ行くと廊下で慎に出くわした。
慎は俺の顔を見るなり、不安げな顔で近寄ってくる。
「…おはよう、時ちゃん」
「辛気臭い顔…、どうした」
「…偶然、俺の耳に入ったんだけど…薮野…死んだんだって…」
俺は目を見開いた。
薮野って…、薮野夏美のことか…?
「…本当かどうかは知らないけど…、家で…首吊ってたらしい」
「…そうか。キモイ奴だったけど…そうなると…ちょっとあれだな」
「なあ…時ちゃん」
「何?」
「首吊りったら…自殺だよな。…あいつ、自殺するような奴かな?」
俺は首を傾げた。
確か、薮野は高校でいじめに遭って退学したと慎が言っていた。
ということは…、いじめに耐えられなかった。
「精神的に参ってたら、自殺するかもよ」
「でも…!俺は…自殺するようには…」
「知ってるか。あーいうタイプの人間ってさ、鬱になりやすいんだって。だから、自分は中学で散々嫌がらせをしていたくせに、自分がそんな目に遭うと耐えられない」
俺が言い終わると、慎が「あ!」と声を上げた。
「じゃあ、薮野に嫌がらせされてた奴が、あいつを自殺に見せかけて…とか?」
「…嫌がらせされてた奴が犯人かわかったもんじゃないだろ。…自殺ってことにしてた方が、変な考えとか巡らせなくていいから楽」
最初のコメントを投稿しよう!