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突然、先程の春也のように、なつめも立ち上がった。
「悪い。気になることがあるから、俺も帰るわ」
「気になることって何…?」
俺が眉を顰めながら、なつめに聞くがなつめは黙ったまま何も言わない。
「なつめ?」
「…悪い、言えない」
なつめはそれだけを言い残し、部屋を出て行った。
「…変なやつ」
「気になることって何だろう」
「さあ?何か変な話でもした?俺ら」
「してないだろ。ごく普通の会話だよ」
ふと、窓の方に目をやった。
もう春だというのに、5時の空は未だに暗い。
そのせいで、小学校1、2年のときは5時までに帰って来なさいって言われてたっけ。
あの頃は、心配性だなー…程度にしか思ってなかったけど、こんな物騒な世の中なんだもんな。
そりゃ、子供のこと心配するのは当たり前だ。
「暇だなー、何する」
「特技でも見せ合うか」
「馬鹿だな、俺ら」
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