プロローグ

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―――年経た動物は、人を化かす。 狐。 狸。 犬。 猫。 猿。 長寿のそれらは、時として、知恵をつけ、化生となり、人を化かす。 だから、馬が化けたって、何らおかしくない。 馬の妖怪だって、居る。 ある地方の昔話では、主の自害の際にその首を斬られて井戸に放り込まれた馬が、今でも時折嘶きをあげるという。 『遠野物語』に収録されていることで有名な「おしら様」にもまた、馬に関連する物語がある。 馬は昔から、犬などと並んで、人間世界に深く結びついてきた生き物である。 ちょっとやそっと、化ける話があったっていい。 そうだろう? いや、むしろ、そうじゃなくちゃおかしい。 ―――現にこうして、俺はここに、こっそり人間世界で生きているんだし。
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