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鈴木先輩の顔が恥ずかしさで真っ赤になっている。……可愛いなぁ、と愛しさを感じると同時に俺は少し申し訳なくもなった。
俺がヘタレなせいで、先輩を今まで不安がらせていたみたいだ。先輩の気持ちに気付けなかったことが、悔しい。
……ごめんね、先輩。
「先輩、こっち来て」
俺は出来るだけ優しい声を出して先輩を呼んだ。
ゆっくり近付いてきた先輩の顎を軽く持ち上げ、小さく音を立てて先輩のおでこに静かにキスを落とした。
「お、おでこ……」
小さく笑みを浮かべて離れる俺に、先輩は騙されたって顔で俺を睨んだ。
同時に、先輩は物足りなさそうに唇を尖らせた。
本当に可愛い。
「だって、先輩、口にしてなんて言わなかったでしょ?」
なーんて意地悪く言ってはみたものの、唇にする勇気が俺になかっただけなんだけど。
……それに、まだ学校だしね。
いくら先輩のお願いとはいえ、公衆の面前でキスするのは無理でしょう?
……だから、おでこ。
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