chapter7 許嫁とか魔王とか裏切りとか

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 ま、まあ仕方無い。前後の文に繋がりが無いからな。アリアも困惑しているんだろう。  脳内で考えてるから話に脈絡が無いのはB型の特徴だよねーとか思いつつ、依頼書を見る。 『緊急クエスト:隣国で大量発生した魔物の討伐』 「……わーい」  主に俺たちの所為だった。このクエストが発生したのは。 「現在、急を要するもの以外は全てその依頼が優先されます。報酬は成功報酬のみですが、魔物の換金部位は持ち帰り可能です」  ……そんなこんなで俺たちは、再び隣国に向かう事となった。 「……自国に帰った俺こと超絶イケメンキールと、その妹たる鬼畜外道の魔王・色葉はそこで一つの依頼を請けた……それは隣国にて大量発生した魔物の討伐という、実は二人の責任の塊としか言えないもので、変態紳士とその妹は自分の罪を償うべく隣国へとやって来たのだった……」 「お兄ちゃん、誰に説明してるの?」 「お前だよ馬鹿やろう!!」  お前が馬車で寝過ぎた所為で「あれ、私って何しに来たんだっけ?」とか言い出したから簡単なあらすじを説明してやったんだよ! つーか聞いてないっぽいし! 「そんな事より、私はまあ魔物を倒すのは楽しいから良いんだけど、よくお兄ちゃんもその気になったね」  流石魔王である。なんてのは置いといて、愚昧の発言は正しい。だが残念なかな、そこには発想力というものが感じられない。この世界、それを知る者にとっては一つじゃないんだよ!  例えば今のトレンドは勇者だったりする。魔王が復活、勇者の召喚……人々は『勇者』に多大な期待を持っている。つまりまあ、勇者はモテる。  召喚されたサラブレッドかどうかは関係無い。活躍するやつがジャスティス。つまり俺がジャスティス! 「ふっ、色葉、俺は――――」 「魔物を薙ぎ倒して女の子にキャーキャー言われたい」 「――――正解だ」  ……俺の台詞を取らないで欲しいんですけど。 「お兄ちゃん、あそこのパーティーに全裸で突っ込んだらキャーキャー言われるよ?」 「キャーの意味合いが違うだろ!?」 「ツッコミ入れながら脱いでるのは何で!?」  ……くっ、圧倒的ツッコミ不足! ちなみに豚は気が付いたら消えていた。まあ普通は逃亡するよな、自由になれば。  もしもの話ではあるが、ここに友春が居れば――――ん?
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