252人が本棚に入れています
本棚に追加
―そして教室―
「けーいーすーけーくぅうぅん」
「おはよう。隆弘」
うん、ご丁寧にも二回目の挨拶ありがとう。
じゃなくてだな。
「朝ごはん……間に合わなかった……!」
くっ、と片膝をついて頭を抱える俺。全身で朝食を食べられなかった悔しさと空腹を表現しています。ついでに冷たい慶介くんを非難しています。
「そうか」
だが慶介はそう一言返しただけで、黙々と何かを書いている。
てか、こっち見てもくんないしね。なんでそんなに冷たいの?俺らって友達だよね?そうだよね慶介?そうだと言ってくれ。
と、慶介に無視された俺が床に体操座りをしていじけていると、俺の視界に誰かの足が入って来た。
「あ、あの……安斎様……」
「ん」
俺がちらりと視線を上に向けると、体を縮こませてもじもじとしている男が一人。
んー、これは見るからに一年生かな。にしても男がもじもじしないでくれるかww普通にキモイぞwwwトイレでも我慢してるんですかwww
「何か用か?」
「え、えっと……その……っコレ!」
一年生らしき男は、視線をそわそわと泳がせながら、意を決したように体の後ろから何かを取りだした。
それは……
「ブホッwwww」
ショッキングピンクのお弁当箱☆
ktkrwwwぶははははwwww思わず笑いがwwwいかんよこれは抑えきれんwwww
と肩を小刻みに揺らして笑いを堪えていたら、一年生にギリッと睨まれた。
あらやだ怖い。俺こんなにも頑張って我慢したのに。褒めてほしいくらいだわ。てか俺先輩だよ?もうちょっと敬ってくれてもいいんじゃないの。
「ああ……。ありがとう」
「い、いえっ! し、失礼します!!」
弁当を渡すというミッションを終えた一年生は、足早に教室から出て行った。教室の前では友達が待っていたらしく、「どうだった?」「貰ってもらえたぁ!」「嘘ぉ! すごいじゃん!」という会話が展開されている。
女 子 か
いや、あれが女子だったらまだいいんだ。そうだったらどれだけ微笑ましい光景なことか……。ううっ、生足……。
→
最初のコメントを投稿しよう!