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「きゃあああっ! 青龍寮の東雲様がっ!」
「生徒会副会長の海音寺様も!!」
「どうして朱雀寮に!?」
俺たちと同じように前方の人物に気付いた周りの生徒達が、堰を切ったように雄叫びを上げる。そう、雄叫びだ。こりゃひどいってもんじゃない、一種の公害だ。耳が腐る。
にしても、俺にとっても前方に見える人物たちは予想外だ。本当に、朝っぱらからなんでここに……。
「慶介さーん……」
「……遠回りするぞ」
「イエッサー」
数回のやり取りで俺たちはお互いの思惑を把握し、くるりと方向転換をする。
少し遠回りになるが、食堂へは裏の階段からも行ける。今はそちらに回ったほうが賢明だろう。わざわざあんな戦場を通り抜ける必要はどこにもない。
俺と慶介は押し寄せる人波に逆らいながら、食堂への別の道を急いだ。
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