四限目

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『アンタ、明日の早朝、校門前に行きなさい』 「嫌だね」 刹那、電話越しに繰り出される次女のマシンガントークをすでに予期していた俺は、電話口から耳を遠ざける。 電話口から聞こえてくる声が落ち着いてきたところで、俺は再び携帯を耳に当てる。 「終わった?」 『目の前にアンタが居たらタコ殴りにしてるところよ』 全寮制でよかったと、今だけ心から思う。今だけ。 「で? 話はそれだけですかぁー? もう切っていい?」 『馬鹿言わないでよ。明日の朝、校門前に行けっつってんでしょ』 「だが断る」 「なんでよ!!」 なんで、ですと?ふっ、そりゃあ愚問だぜ姉貴!中学時代の三年間、引きこもってネット世界に居住してきた俺には、もはやアンタの思惑はスケスケだぜぇ! こういうのは大抵なぁ、王道転校生を見物しに朝校門に行って、美形副会長が王道くんにキッスをして、王道くんが一匹狼の不良を手なづけ、会長にも気に入られ、めでたく「総受け愛され☆王道転校生!」に成り上がる中、なぜか非王道くん(校門にて覗きしたまう者)が王道くんに気に入られ、イケメンに疎まれながら徐々に王道へと駆け上がっていく、名付けて「非王道くんのシンデレラストーリー」が定石……。 だがしかし!まあそんなことは万が一、いや億が一にもないとは思うが、俺はそんなシンデレラ(笑)になるつもりはさらさらない!しかも転校生に関わるとろくなことがないというのは分かりきっている!よって!! 俺はいろいろな可能性を考慮した結果、やはり転校生に近づくのは危険と考え、俺を王道くんへと導かんとする姉貴の提案には乗れないということだぁ! →
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