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『くっ……! 余計な知識ばかり蓄えよって……!』
「すまんな姉ちゃん。俺も伊達に三年間を過ごしてきたわけじゃないということさ」
最後にまだ何かを言っていた姉貴の声は無視して強制ログアウトさせた俺は、ふっと口の端を上げてミステリアスな笑みを浮かべる。
「ドヤァ……」
「頭大丈夫かお前」
二段ベッドの上の段に寝転がり、俺と次女の電話の一部始終を聞いていたらしい慶介が、俺の顔を見て心底呆れたような顔をする。
「なんとでも言うがいい! 今の俺はダークホールのごとき心の広さを持ち合わせているからな!」
はーっはっはっは、とアニメに出てくる悪役のような笑い声を高らかに真似すると、これ以上関わるのは面倒だと思ったのか、慶介はごろりと俺に背を向けてしまった。
なんだよ、つれねえな。まあ慶介の対応が冷たいのはいつものことか。
……漫画でも読もう。
俺が自分の寝床である下の段に潜り込み、好きな漫画を読もうと寝転がると同時に、俺たちの部屋のドアがコンコンとノックされた。
この時間に俺たち(友達いない同盟)の部屋に来る奴っていったら……あの人しかいねえな。
よっこらせと体を起こしてベッドの脇に顔を出し、上の段を見やる。慶介が動く様子はない。
つまり、俺に出ろってことですか。めんどくせえなぁ~。
そんなことを思いながら行くのを渋っていると、さらに激しく部屋のドアがノックされる。
あーわかったわかった!出ますよ、今すぐ出るから少しくらい大人しく待ってろ!!
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