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(んん?)
俺が寝ていた植え込みから数メートルほど離れたところに、やたら立派なドでかい校門がそびえたっている。
その校門の向こう側、つまり敷地外に、誰か人間らしき奴が立っていた。
その人物はこの聖ケルベロスの指定制服を身に纏い、腕を組みながら校門の前を右へ左へとせわしなく動いている。髪は黒で何日風呂に入っていないんだと思うくらいにボサボサ、目には前髪がかかっていて見えないうえに、牛乳瓶の底のような分厚い眼鏡をかけていた。背は低めのように見える。
なんだアイツ。不審者か?それともヤク中か?浮浪者か?
どっちにしろ危ない奴だな。こういうのは見て見ぬフリをして関わらないのが賢明だ。
さーて、かえろかえーろお家へ帰ろwwでんでんでんぐり返しでばいばいばいっとwwww
俺が脳内で日本昔話のエンディング風にその場を去ろうとした、その時。
ガッシャン! ガシャガッシャ
「!?」
なんだ!?何が起きているんだ、この音は何だ!?世界に災厄が訪れる前兆か!?
俺があたりを警戒しながら周りを見回していると、さきほど校門の前に居た不審者がいないことに気がついた。そしてその代わりに、大きな校門が微妙に揺れていることにも気がついてしまった。
まさか…まさか、な。
俺は徐々に徐々に、視線を上へと向けて行く。推定5メートルほどの校門の先っぽには――
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