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(side幸平)
俺には、気に入っている人がいる…
ほら、今日も艶々の黒髪をぴょんぴょん揺らしながら俺に駆け寄って来る…
この人には、友達とやらは多分居ないと思う…。
でも、友達が居ない同情でつるんでるんじゃなくて…
もっと、ちゃんとした理由が有るんだ…
…入社式…
俺は、昔から猫被りが酷く得意だった…
だから、誰も俺の本性を知りはしない…
適当に、人間関係をやっていけば良いかなって思ってた。
バシン!
ふと、通り過ぎようとしたオフィスから机を叩く音が…
チラ見をすると、上司に怒られてる部下そのものの状況が…
バカだな…へまするなんて…怒られるって分かってるなら絶対間違えたりしないだろ…
半ば呆れながら、そのオフィスの前を通り過ぎた…
何分かして、トイレに行った…
誰かにぶつかった…
「すみません。大丈夫でしたか?」
何時も思ってない言葉を発するのは実に面倒くさい事だけど、こういう事は今から積み重ねていかないと後から面倒くさい事になるからな…
「あ、の…すみません…」
フラア…と、首を持ち上げて謝るそいつ…
ソイツを見た途端俺は、全身の毛が逆立ったみたいにゾクリとした…
気持ち悪い訳じゃなくて…何かが刺激された…
そいつは、今いかにも泣いてましたみたいな顔をしてて顔がほんのり紅くなってて唇の隙間から見える舌が、呼吸するたびにチラチラ見えるのが…厭らしかった…
そいつこそが、五月さんだった…
いつか、先輩を抱いてやろうと夢を見てもう大分時間が経っている…
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