ヤミのイロハ唄ーAnotheR―

始まり

‐雨の降る公園にて‐

ザーッ

激しい雨が地面をうつ

雨の勢いは強く、視界は最悪だ

そんな大雨のなか、私は傘もささずに呆然と立ち尽くしていた…

少し肩が上下しているのはこの場所、つまりこの公園を走り回ったせいだ

「…また、だめだった…」

私はスカートやらなんやらが濡れるのも構わずその場に座り込んだ

座り込んだ私の目の前には地面に倒れ伏す一人の少女がいる

少女はそのままピクリとも動かずに、水溜まりにしずんでいた

それもそのはず、少女はもうすでに息絶えていた

少女は自らに刃を突き立て、命を絶ち、自らが作った血溜まりに横たわっていた

それも、笑顔で…

『これで何度目だろう、この少女を救えなかったのは…』

私はそんなことを思いながら少女に手を合わせる

そのあとで私は少女の傍らに落ちている真っ黒い表紙の本を手に取った

『また、始まってしまったんだ。あの、悲劇が…』

私はなにも書いてないその本をペラペラと一通りめくり、再び地面においた

そして私はその場をあとにすることにした

『必ず悪夢から救いだしてみせるから。この少女…いや、私自身を』

座り込んだ時、服に多少血がついてしまったようだが私は気にもとめず、そのまま歩き続け公園の敷地からでた