始まり

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私は公園で倒れていた彼女のそばに落ちていた本とまったく同じものを持っている …いや、正確に言えばまったく同じではない。先ほどの本は白紙であったのに対し、私が持っている本にはちゃんと物語が書いてある なぜ私が同じ本を持っていて、私の本は白紙でないかと言われれば説明は少し難しいものになる 私は過去に自ら命を絶った その直前に私はあの本を拾っていた その後私はとても不思議な体験をした…。 何回も死に、何人も殺す体験を… その体験は白紙だったあの本に物語として書き刻まれていった そして私は一冊の本を完成させたのだった 本を完成させた私は導かれるままに一枚の扉を開き、先に進んでいった そのとき私は、この扉の先にはどんな恐ろしいものが待っているのだろうかと考えていた。と同時にどんな恐ろしい目にあってもそれをすべて受け止めようと決心していた 私はたくさんの人を苦しめてしまったのだ、それくらいは当然の罰だろうと思っていた そう考えていた私だったが、扉の先に私が考えていたような地獄の光景はなく、あるのは色とりどりでとてもキレイな一面の花だった 私はあっけにとられた そんな私に向かって花畑かなりの向こうの方から二人の子供が手を繋ぎながら駆けてきた しばらくするとその子供二人は私のすぐそばまでやってきた 子供達の背は幼稚園児くらいで、髪型は二人ともおかっぱだった。服装は日本昔話にでも出てきても違和感を感じなさそうな着物姿で、一人は青色もう一人は赤色の着物姿だった 私はイメージにぴったりだったので、すぐに座敷わらしが頭に浮かんできた 『青い着物の子は男の子で赤い着物の子は女の子かな?』 そんなことを考えていると二人の子供は私のすぐそばまで来た しかし上を見上げてはこなかったので子供達の顔は見ることができなかった 私がかがめばすむ話だが、私はそれをしなかった 体の自由が利かないからというわけではなく、なぜか私は彼らの顔を見てはいけない気がしたからだ… しばらくそのまま立ち尽くしていると子供の方がクスクスと笑い始めた そして 「おねえちゃんのお話とってもおもしろかったよ」 男の子がそう言った
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