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尚もステイスは牽制に誘導魔力をフランジルに撃ち続けてはいるが、全く当たる気配がない。
「………………すげぇ………」
魔力スラスターと誘導魔力の軌跡が、幾多もの筋を僅かに残し、消えていく事を繰り返すフィールド上はそれだけで美しかった。
対戦が始まって数分が経つが、会場のテンションは上がりっぱなしだった。
しかしフランジルもこの状況では決定打に欠けていた。あの機動特化のフィギアに一瞬で戦況を覆すような火力は無いのだろう。
ついに、フランジルがステイスへ肉薄した。当然、フランジルを追い掛けていたステイスとの距離はあっという間に縮まった。
フランジルが機動を変えてからものの、一秒。その一瞬で二機のフィギアが交差した。
「なぁっ!?」
ロイが思わず驚嘆の声を上げたのは、【決着が着いた】からだった。
フランジルのボディが、胴体から真っ二つに切断されていた。吹き飛んだフランジルの成れの果てが、フィールドに張られていた結界と激突し激しい閃光を放つ。
圧倒的な出来事により、静寂に包まれた会場別たれたフィギアの残骸が、フィールドに叩きつけられ、沈黙する。
次の瞬間、フランジルのボディが霧散し、一匹の妖精とおそらくマスター格の人間が倒れていた。
ステイスが鋭利な腕部を振り、ゆっくりとビジョンへと頭部を向けた。
「所詮貴様も、私には遅すぎる相手だったな」
ステイスのマスターであろう声が聞こえた瞬間、ビジョンから大歓声が聞こえてきた。
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