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「お前の【周りにいる妖精】とは違う、【お前だけの妖精】なんだ。場合によっては、一生のパートナーとなるのだからな……ん?」
「メ~ルメ~ル」
その時、師匠の頭上からそんな鳴き声が聞こえてきた。見上げると、人影とも言いにくいような間抜けなシルエットが。
頭部は正方形、腕は長く、足は短い。先程から力が抜ける鳴き声を発しながら師匠目指してフラりフラりと飛んで来ている。
カーパルス大学のサポートフェアリー、【パス】だ。
「メ~ルメィ~ル」
「業務連絡?ああ、了解した。すぐに行こう。」
肩に乗った妖精の鳴き声を聞いた師匠がまるで人と会話するかのように言った。
「メィル!」
【確かに伝えたぞ】と言わんばかりに長い手で敬礼し、妖精は再び空を飛び始めた。
「【職員は至急集合】なんだと。ロイ。明日は組手を最低三回はやるぞ。コンディションは万全にしておけ。」
「………了解です。」
校舎の方へと去っていく師匠を見送り、ロイは再び帰路へと付いた。
この世界では妖精達が生きている。
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