エピソード1.00

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力の源や原理、存在理由すら謎に包まれている【妖精】 ただ、間違いないのはその不思議な力を人間の利とするか、害とするかを決めるのは人間であるということ。 「ただいま~っす」 カーパルス大学から自転車で帰ってきたロイ。いつも通り玄関を解錠し、扉を開け、靴を脱いで自分の部屋へと入る。 ロイの家族構成は父、母、三つ下の妹とロイの四人家族。父が経営するガンメンテナンスショップで生計を立てている。 まだ店じまいの時間は来てないので、どうやら自宅には誰も帰って来ていないらしい。 「………さて……今日のフェアレスはと………」 相棒の槍をいつもの場所へ収め、上着を脱ぎながら板型の道具に触れる。 通電音がした後、真っ暗な画面に光が灯り、ゆっくりと音声が流れ出す。 【フェアリービジョン】と呼ばれる情報伝達機である。【ビジョン】という妖精が写した像を遠くの機器に魔力と電力で伝達する、この世界での三大娯楽である。 ちなみに残りの二つが【フェアリーライフ】と【フェアリーレスリング】である。 【フェアリーライフ】は妖精達の新たな能力、形態を研究し公開している組織が経営しているチャンネルで、あらゆるメディアを通して世界に発信している。 未だに謎の多い妖精達の力は今も昔も人々の関心を集め続けているのだ。 もう一つの【フェアリーレスリング】とは、いくつかの競技があり、フェアリーツールを使う人間達がスポーツで競ったりしている。 その中でも特に人気なのが【フィギアタイプレスリング】である。文字通り【フィギアタイプ】のフェアリーとそのマスターが二人三脚で対戦相手と全力で戦う、所謂【ロボットによる見せ物】である。 そのスケールの大きさから派手な演出、激しく繰り広げられる戦闘が大多数の人間の心を掴んでいるのだ。 ロイもその一人だった。
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