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「おっと、今日は【フィギア】だな。対戦カードは………」
【フェアリービジョン】が映し出した女性司会者が、大袈裟な文句を言っている。
「さあ!本日は究極の超機動対決です!!【止まって見える】と謳い文句の【ステイス】と【当たらなければなんとやら】と豪語する【フランジル】!観客の皆様も目を回さないでくださいね~!」
巨大なスタジアムの客席を埋めている歓声、妖精の力によって拡音されたBGMが会場がいかに盛り上がりを見せているのかを知らせてくる。
「ステイスとフランジル……ああ、そういやCMで今日はランカーフェアリー対決だったな」
ロイがそう呟いた時、ビジョンから流れてくる音楽の曲調が激変した。
「まずは【装甲なんて装飾です!フランジィィィル】!!!」
豪語している事が変わってた。
司会者の叫びと共に光に照らされたフィールドの端から薄っぺらい影が飛び込んできた。
いかにも【打たれ弱そう】なスタイルのフィギアが、ふわりふわりと宙を舞っていた。
「うっわ!軽そ~!」
棒の様な胴体、棒の様な腕、脚、丸っこい頭部。【フィギアを何か描け】と言われたら真っ先に描き上げられるほど簡単なシルエットだった。
「続いて!勝ち文句は【速さが足りない!ステェェェイスゥゥゥ!!!】」
謳い文句じゃなくなっていた。
司会者の紹介の直後、ジェットエンジンのような甲高い機動音をかき鳴らしながら現れたのはまるで音速戦闘機のようなフィギアだった。
尖った流線型のフォルムがいかにも【速そうな】イメージをそのまま表しているフィギアだった。
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