悪夢

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この男子、永崎誠(ながさき・まこと)は、目の前に広がる景色に青ざめた。 びっしり文字の埋まった黒板、静まり返った教室。 窓側後ろのベストポジション――誠の席だ――を、心配そうに振り返るクラスメート達。 そして、教科書を棒状に丸め、鬼のような形相を浮かべている中年の担任が誠を見下ろしていた。 「お前、中学3年始まったばっかでさっそく居眠りか!!やる気はあるのか?ん!?」 (やべー!!やっちまったぁあ!!) 短いながらも乱れた髪に、寝ぼけた顔、使い込んで小さくなった消しゴムが丸ごと頬に張り付いているとくれば、言い訳のしようもない。 ひたすら平謝りする誠を、斜め前の席から呆れ顔で見ている女子がいた。
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