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見渡せば草原だった。
朝倉 凪(あさくら なぎ)は、そんな場所にいた。
「ここ…?」
見たこともない風景。
理解できない今の現状。
朝倉はただひたすらに周りをキョロキョロと見返すことしかできない。
(…さっきまで家で寝てて、それから…)
思案に暮れながら、ふっと風が頬を撫でた。
(…気持ちいい場所だな)
困惑でいっぱいだった心の隙間に少しの余裕が生まれた感じだった。
朝倉にとって、見知らぬ土地ではあるが、目の前いっぱいに広がる草原は、そしてそのさらに奥に悠然と連なる山々に、状況も忘れて見いってしまっていた。
サァ…
草を揺らす風の調べに、朝倉は体を横にし、目を閉じた。
(見たこともない土地だけど、なんて気持ち落ち着く場所なんだ…)
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