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なんとも面妖なことになった。
気付けば、知らぬ草原で寝ていた自分が今は少女に連れられて小さな村に足を運んでいる。
「遅くなりましたが、私はフィル。
フィル・アドミラルと申します。
貴方は?」
「朝倉 凪」
ここへくる途中にも村人らしき人と挨拶を交わしていたフィルを、静かにみやる。
凪自身彼女のことを完全に信じた訳では無かったが、自分の身の振りを考えると、ついてきてしまっていた。
「正直、ここがどこなのか全く分からないんだ」
現在、フィルに案内された家に上がらせてもらっていた。
「迷子ってことですか?」
「まぁそんなとこかな?
気付いたら、あの草原で寝てて、君が来てくれた。
動けずにいたっていう君の言葉はまさにその通りかな」
疑問は浮かんでは消え、消えては浮かぶ泡沫だった。
「とにかくありがとう」
「いえいえ」そう言いながら、彼女はお茶を凪と自分の分とを淹れ、それぞれの目の前に置いた。
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