観覧車から見える景色

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案の定店員さんは苦笑いしながら拒否しようとしている。 「すみません、今日はもう受付終了しちゃったんです」 「ふ・た・り!」 「で、でもー」 「いいからしのごの言わずに乗せなさいっ!」 店員さんは彼女の迫力とお嬢様オーラに圧倒されたのか、「はい」と思わずうなずいてしまったようだ。 お嬢様はそれを聞いて、当然のように俺の手を乱暴にひっぱって観覧車に乗り込んだ。 俺とお嬢様を乗せたゴンドラは、ゆっくり地上を離れて行く。 ごり押し。ごね得。横暴。 頭の中にはそんな単語が浮かんでいた。 押しに弱い日本人。 意外と無理を言われると聞いてしまうものだ。 店員のお姉さんがおろおろしながらこちらを見上げている姿が目に入った。かわいそうに。 .
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