観覧車から見える景色

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その時観覧車がちょうどてっぺんまで上った。 強い風が吹いて、ゴンドラが大きく揺れる。 前傾姿勢だったお嬢様はバランスを崩して俺の肩に手をついた。 咄嗟にそれを支えると、想像以上に互いの顔が至近距離まで近づいてどきりとする。 恋人だったらキスでもするのが普通なんだろうけれど。 って、何を考えているんだか。 「け、けっこう揺れますわね」 彼女も同じようなことを想像したのか、頬を赤らめて俺の身体を押しのけた。 「そうですね」 彼女は顔を背けて、ただでさえ狭いゴンドラの端の方に座り直した。 なるべく俺から距離を取りたいらしい。 .
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