観覧車から見える景色

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しばらく恥ずかしそうに黙っていたが、お嬢様はまたぽつりぽつりと話し始めた。 「あなたは、昴さんの言うことなら何でも聞くんですのね」 「別に、何でもってわけでもないですけど」 お嬢様はむっとしたのか少し口調を強めた。 「だって、普通友達に頼まれたからって、わざわざ全く関係のないわたくしを探しに来たりしないと思いますわ!  昴さんに弱みでも握られてますの?  わたくしには、あなたが何を考えているかよく分かりませんわ! だから気持ち……怖い、っていうか」 また気持ち悪いって言おうとしただろ。 いいけどさ。 頂上まで上った観覧車は、ゆっくりと下がっていく。 俺は窓枠に手をかけて溜め息をついた。 「弱み……も握られてない、と言ったら嘘になるような気もしますけど。 まぁ、確かに俺も普通じゃないんでしょうね」 お嬢様がじっと俺の言葉に耳を傾けている様子が伝わってくる。 「普通じゃないって?」 .
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