7596人が本棚に入れています
本棚に追加
お嬢様は怪訝そうな声音で聞き返してきた。
「依存……ですか?」
口にすると、何かが壊れて元に戻らない気がしていた。
「そう。妹もいるし、昔から誰かに頼られるのが好きだったんです。
周囲からは、面倒見のいい性格だってよく言われてたんですけど」
彼女は真剣に俺の話を聞いている。
「違うんですよ。
小さい頃の昴はひねくれもので身体も弱くて、誰も心を許せる人間なんていない状態で。
身内でさえも信じてなかったんです」
口から自嘲めいた笑いがもれた。
「だから、嬉しかったんですよ。
昴を見つけた時、きっと俺のことをずっと必要としてくれるんだろうなって、思って」
彼女はよく分からない、という風に首をひねった。
「それって、友達の力になりたいとか、支えたいとか、そういう感情でしょう?
別に普通じゃありませんの?」
.
最初のコメントを投稿しよう!