観覧車から見える景色

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俺は小さく首を振る。 「取り方を変えたら、優しさと言えなくもないかもしれません。 いつもどこか無理してる所があったあいつに、幸せになって欲しいと思ったのも本心だし。 だけど」 「……だけど?」 「花音ちゃんと会ってから、変わっていく昴を見て、改めて気づいたんです。 あいつがいないと何も出来ないのは俺の方だったんだって。 誰かに寄りかかって貰わないと、心のバランスが取れないっていうか」 ゴンドラが下に到着し、外から扉が開かれる。 俺は軽く笑って、話を終わらせて外に出ようとした。 「すみません、今の話忘れてください」 そう言って、全部なかったことにしようとしたけれど。 お嬢様は座ったままで、がしりと俺の腕を掴んだ。 .
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